ダンテ「学園都市か」前時代史(仮)
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253:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:14:26.64 ID:XVB8s0iW0

そんな日々を重ねるうちに、
スパーダの内側にて好奇心ではない別の感情が芽生えはじめた。

エヴァの仕草や、会話に垣間見える生来の優しさ、
どんな相手であろうと慈愛によって受け入れようとする姿勢。
それでいながら、必要とあれば誰だろうと容赦しない秘められた闘争心、
そして子供のような無邪気さと、相反する冷めた憂いの同居。

そうした彼女の人柄に、スパーダは次第に吸い寄せられていった。
もっと話したい、もっと知りたい、もっと時間を共有したい。
そんな情動が日に日に彼の心を占めていった。

一方、エヴァの側も徐々に惹かれつつあった。
スパーダはよく、彼女の興味に応えて、
自身の人間界各地の探訪体験を話していた。

内容は国、文明、文化といった広範な視点のみならず、
とある日の街角にて見かけた人間模様などの細部にまでわたり、
そこで語られる情景にエヴァは夢中になった。

彼女はヴィグリッドの外で育ったとはいえ、
幼少から祖母の元で徹底した魔女教育の日々を過ごしたため、
「弱き人間」の社会のことは直接的にはほとんど知らなかった。
アンブラ族に招かれてからも厳重なヴィグリッド中央に篭ったままであり、
それゆえスパーダの未知なる外の物語に大変関心を寄せた。

そして当初は純粋に話を楽しんでいたが、
次第にスパーダという人格そのものにも彼女の意識は向いていった。

話自体の面白さのみならず、スパーダの語り口や視点には
無意識のうちに彼の純粋にして善良な人間性が溢れており、
それが優しきエヴァにとって心地よいほどに共感できたのである。



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