254:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:14:58.07 ID:XVB8s0iW0
彼女はしばしば思うようになった。
自分もいつか、彼が語る「物語」に現れるのだろうか、と。
彼の純粋にして善良な語り口で自分も描かれる、
そう思うと嬉しくてたまらなかった。
できることなら、自分自身もその物語を聞いてみたい。
彼が紡ぐ「エヴァとの友情」の話を、自分も隣で聞いてみたい。
そんな彼女のささやかな願望は徐々に膨らみ、
そしていつしか、いっそのことその物語自体を
二人で共有したいとも思うようになっていった。
それも二人だけの「特別な物語」として。
双方の好意はとくに秘められたものではなかった。
お互いに純粋素直ゆえ、隠すこともなかったからである。
そして互いの想いに気づいても齟齬など一切なく、
二人の絆をさらに深めていった。
エヴァは最重要人物ゆえ護衛が常についていたため、
肌が触れるどころか二人きりにすらなれなかったが、
それでも両者にとっては十分だった。
話しこんで、笑いあい、そして時に沈黙して見つめ合う。
身分差と高度な警戒環境のため制限されながらも、
二人はゆっくりと「愛」を育んでいった。
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