251:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:13:10.59 ID:XVB8s0iW0
しかし一方で、スパーダは変えられない現実も常に意識していた。
それは彼が悪魔であり、侵犯者であるという事実である。
彼が人間界にとって究極の敵であることは今も変わらない。
人間たち、この友人たちとはいずれ敵として相対しなければならない。
人間世界を破壊し、殺し尽くさねばならない日が来るのだと。
それはスパーダにとって嘆かわしい未来でしかないが、
その日が訪れたら確実に成すつもりでもあった。
彼は悪魔たる思念を捨てたわけではなく、全てを同化させたのである。
ゆえに人間的でありながら、冷酷で闘争を是とする悪魔的な一面もまた
今でも彼の素顔の一つでもあった。
それは一種の諦めとも言えた。
いくら人間的な心を育みようが、所詮は悪魔なのだと。
自分は、この友人たちにとってはやはり災厄なのだと。
友人らはみな本質的に敵であり、決して真に理解し合えることはないのだと。
誰一人として。
彼はヴィグリッドにて生涯で初めて
友人と呼べる存在、それも大勢に恵まれたが、
それゆえに真の「孤独」というものも思い知らされ、
日々苛まれ続けたのであった。
そしてそのような日々の中、
スパーダは一人の魔女と出会うこととなる。
彼女の名はエヴァといった。
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