151:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:16:04.36 ID:XVB8s0iW0
このような背景と動機だったため、
彼女の提示した『位相』案はもちろん最適なものではなかった。
一応は最低要求を満たしてはいたが、
152:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:16:30.24 ID:XVB8s0iW0
理由は大別して二つ。
まず一つは、オーディン案には小細工がなかったという点である。
というのも、他の魔神たちの素案は表面上は優れていたものの、
153:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:16:56.57 ID:XVB8s0iW0
こうして新たな人間界の姿として、
「オーディン位相群」が正式決定された。
そして次に、「台本」の配役や演出を決めていくように、
実際の運用とオーディン位相群とのすり合わせ作業が行われた。
154:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:17:23.42 ID:XVB8s0iW0
そしてオーディンの位相群には、
そういった管理構造に有用な信仰体系が充分に揃っていた。
この位相群は何重にもなっており、
155:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:17:52.99 ID:XVB8s0iW0
ただし、こういった天界諸派閥の信仰管理はすべて、
本質的には主神派の代理、さらに言うと全てはジュベレウスの代理とされ、
人間たちから捧げられる信仰心は
最終的にはジュベレウスに集束するようになっていた。
156:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:18:19.39 ID:XVB8s0iW0
信仰体系の次に重要だったのは「配役」だったが、
「台本」たるオーディン位相群はそれらもしっかり対応していた。
まず混沌神族の子である者たちは、
オーディン位相群に現れる「能力者」と呼ばれる出生に配役された。
157:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:18:46.13 ID:XVB8s0iW0
それでも、この「魔術師」たちこそが
新たな人間界の地上を統べる階層となった。
というのも、賢者・魔女はこのオーディン位相世界、
もとい「弱き人間」世界には積極的に関わろうとしなかったからである。
158:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:19:12.58 ID:XVB8s0iW0
こういった具合で「弱き人間」の「配役」が決められていったのと並行して、
彼らが住まう世界も細部が整備されていった。
物質領域は元々の人間界から大幅に変更され、
オーディン位相群の旧世界像がそのまま転写された。
159:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:19:39.99 ID:XVB8s0iW0
こうして「台本」、「配役」から「舞台」作りまで、
オーディン位相群の適用と構築は順調に進められていった。
とはいえ当のオーディンは、
この作業段階には加わっていなかった。
160:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:20:06.31 ID:XVB8s0iW0
それゆえ彼女はひどく後悔した。
こうなることがわかっていながら、行動に移してしまった、
そんな己自身への失意と怒りも伴って。
161:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:21:01.43 ID:XVB8s0iW0
3 魔女の決断
人間たちは長い間、
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