16: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:16:17.83 ID:FpkFq5Eu0
「――――――――――」
沈黙が流れる。
17: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:16:52.95 ID:FpkFq5Eu0
辛い過去――などという生ぬるい表現では済まない事をまざまざと思い返しながら、先輩は今の自分の生き方を語ってくれた。
それもこれまで幾度となく争ってきた自分に、何の打算も無く、一人の友人として。
これに謝るのは間違っている。
先輩はそんなつもりで胸の内を明かしたわけではない。
18: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:18:25.48 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「はじめまして、アシスタントティーチャーのアル美です!
19: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:19:08.91 ID:FpkFq5Eu0
「ぐお……っ」
「遠野くん……!?」
あまりの絶望に頭を抱える勢いが止まらず、机に額を叩きつけるように突っ伏してしまう。
20: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:19:52.03 ID:FpkFq5Eu0
「し、質問です! アル美先生はおいくつなんでしょうか!」
「好きなブランドは何ですか!」
「誕生日はいつでしょうか!」
21: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:20:35.78 ID:FpkFq5Eu0
……大丈夫だよな。
俺とアルクェイドが知り合いだって気づかれていないよな?
「それで好みのタイプだけど、ふふ」
22: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:21:19.10 ID:FpkFq5Eu0
あれ? 弓塚まで地獄に落ちたような表情だ。
何で前の席に座っている弓塚の表情がわかるかというと、さっきからテンポが早いメトロノームにように教壇に立つアルクェイドと俺を交互に見ているからだ。
首をあまりに酷使しているせいか顔が真っ青だけど、大丈夫なんだろうか?
「えへへ。まだまだ語りたい事はいっぱいあるけど、これ以上は怒られちゃうからそろそろ授業を始めます」
23: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:22:03.98 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「はい。それじゃあ87ページ二段落目からの英文を――」
24: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:22:48.23 ID:FpkFq5Eu0
早押しクイズのように今か今かと手を挙げようとしていた男子たちを制止すると、アルクェイドは座席表を手に取る。
「先生が授業をするうえでやりたかった事の一つにね、これがあるんだ。
今日は〇×日だから、出席番号〇×番!」
25: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:23:40.65 ID:FpkFq5Eu0
「ねえねえ、そこの貴方。名前は大野……絆琉《はんる》で合ってる?」
「アル美先生。わたしの名前は絆琉《ほたる》って読んでしまうんです」
「ご、ごめんなさい絆琉ちゃん。間違えちゃって」
26: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:24:37.06 ID:FpkFq5Eu0
ヤケになったアイツは唐突に俺を名指しした。
待て待て、おまえ生徒はフルネーム呼びで“くん”か“ちゃん”を付けていたよな?
なんで急に下の名前だけで呼び捨てにしてんだ!
「あっはっは。アル美先生が日本人の名前にキレた」
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