17: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:16:52.95 ID:FpkFq5Eu0
辛い過去――などという生ぬるい表現では済まない事をまざまざと思い返しながら、先輩は今の自分の生き方を語ってくれた。
それもこれまで幾度となく争ってきた自分に、何の打算も無く、一人の友人として。
これに謝るのは間違っている。
先輩はそんなつもりで胸の内を明かしたわけではない。
アルクェイドを糾弾するためではなく、アルクェイドの悩みと疑問に応えるためなのだから。
もちろんアルクェイドは申し訳ないと思っただろう。
けど先輩の心境をくみ取ったあいつは、決して謝罪の言葉を口にしてはいけないと理解し――――“ありがとう”という一言に万感の思いを込めた。
「……いいですよ。先に胸の内を明かさせたのはわたしの方なんですから」
先輩はアルクェイドの感謝の言葉に、静かに――でも本当に嬉しそうなほほ笑みを浮かべる。
ああ、良かった。
二人が胸の内を明かし合って、こうして互いに理解を深める事ができて。
似た者同士な二人だからこそ、一歩間違えれば致命的な決裂になる事も起こりえた。
でも、それはもう大丈夫。
ここでお互いの大切な事を理解し合えた二人は、例えこれから先争う事があったとしても、それはどうしようもない理由があっての事で。
決して憎悪で争う事は無いのだから――
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