23: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:22:03.98 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「はい。それじゃあ87ページ二段落目からの英文を――」
誰に当てようかと教室をアルクェイドが見渡すと――
「はい!」
「先生! 俺が読みます!」
「バカ野郎! ここは俺に任せて先に行け!」
男子たちが次々と手を挙げて立候補する。
小学校の授業参観でもここまでの意気込みで手を挙げたりはしまい。
でかい図体になった高校生男子が目をキラキラ、もといギラギラとしながら挙手する見苦しい光景には理由がある。
それは――
「それじゃあ先に行けって言われたそこのキミ、名前は――山田哲人くん! 読み上げてくれる?」
「シャッ!」
「しま……っ」
この通り指名された生徒はフルネームで呼ばれる権利を手にする。
名前を憶えてもらうには格好の機会というわけだ。
しかし最初はどうなることかと心配だったアルクェイドの授業だが、意外とまともというか――普通にわかりやすくて、その、なんだ……困る。
もともと知識量は並みの人間では太刀打ちできないほど豊富なんだ。
ただ人と会話した経験がほとんど……というよりまったく無かったため、知識を伝えるのが下手だったはず。
しかし俺を相手に少しは話し慣れたんだろう。
そのうえ授業の相手は俺と同年代の集まりで、さらにアル美先生への好感度は全員高く、邪念混ざりとはいえ授業に集中している。
これで相手が小学生だったりしたら、人間の幼体への対応経験が無い事で大苦戦したかもしれないが、このまま無事に授業が終わって――
「――はい、という風に使い分けることができます。つまりこの文章を和訳したら――あ、手を挙げるのは今回は無しね」
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