19: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:19:08.91 ID:FpkFq5Eu0
「ぐお……っ」
「遠野くん……!?」
あまりの絶望に頭を抱える勢いが止まらず、机に額を叩きつけるように突っ伏してしまう。
クラス中が喧噪に包まれているおかげで目立たなかったが、この異様な雰囲気に吞まれていなかったのが弓塚が驚いて振り返る。
それに手を軽く振って大丈夫だと応えながら、有彦が朝からサボっていることを神に感謝いややっぱしねーわ、こんな事態を引き起こしやがって。
今なら心の底から神に呪われたと、ガッデムと叫べるぞ俺は。
「わたしはあくまでアシスタント役なんだけど、英語の先生は今日はお休みだから代わりに進めちゃいま〜す♪」
ま〜すじゃねえよ。
おまえアシスタントティーチャーなんだろ。アシスタントを止めてメインになろうとすんなお願いだから。
しかし誰もこの暴走機関車を止められない。
ノエル先生の時と違って男子たちだけではなく、女子まで熱をあげている。
さもありなん。
アルクェイドほどの美人ともなれば、常人なら同じ場にいるだけで気後れしてしまうものだが、アルクェイドの無邪気な振る舞いは一般人の緊張を和らげる。
それはノエル先生の、男心をわかっている者が振り回して楽しむあざとさとは対極に位置するもので、女子に敵対心を持たせるものではない。
かくして絶世の美女の予期せぬ来訪にテンションを上げる野郎どもと、ハリウッド女優もかくやといわんばかりの美貌とスタイルに羨望と憧れの目線を向ける女性陣。
熱狂した民衆は自らをひき殺さんとする鉄の塊を、もろ手を挙げて迎え入れんとしていた。
そりゃあノエル先生に「“うふふ。この子たち、頭の程度は大丈夫なのかしら”」と言われるわけだ我が学級よ。
「さぁてと! それでは早速授業に入……ろうと思ったけど、なんだか皆それどころじゃない感じよね。
あ、そっかそっかゴメン! 自己紹介のあとは質問コーナーで、それから授業だもんね。
はい、というわけで先生に質問ある人!」
どうやらアル美先生とやらの自己紹介はあれで終わりらしい。
頼む、気づいてくれみんな。
コイツは自己紹介でアル美とかいうカタカナと漢字が混ざった名を名乗り、自分の肩書をアシスタントティーチャーと自称しただけだぞ。
これで教師役としての自己紹介が終わったつもりなヤベー奴だぞ。
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