38:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:14:25.21 ID:uyzFntxd0
なぁ、サンタクロースっていつまで信じてた?
……今でも信じてるって言ったら、どうする?
39:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:15:35.04 ID:uyzFntxd0
俺は思う。
そうだった。こいつは静謐で神聖な雰囲気を纏う天然ボケだった。歳の離れた弟妹にもたまに敬語で話すようなコミュ障だった。みんなから遠巻きにされた広い世界をひとりで歩く、普通の高校生だった。
40:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:16:45.92 ID:uyzFntxd0
「なに速攻で諦めてんだよお前、今できることを探せよ!」
「で、でも……」
41:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:18:44.14 ID:uyzFntxd0
「だ、だけど、それじゃあ辰野君に迷惑が……」
「うるせぇ! お前がサンタになるんだよ!」
42:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:19:46.51 ID:uyzFntxd0
なんて馬鹿なことを考えているうちに、駅前商店街を抜けて、大きな国道へ出た。
それでも目的地まではまだまだ遠い。ペダルをもっと強く踏み込む。
43:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:20:39.03 ID:uyzFntxd0
「はぁ、はぁ……ちょっと、遅れちまったな……」
肩で息をして、冷たい空気を肺に取り込みながら、百貨店の入り口で豊橋を降ろす。汗だくの額を北風が撫でていく。
44:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:21:33.86 ID:uyzFntxd0
ここでお目当ての物が見つかればいいけど、果たして……と思いながら、百貨店の入り口近くに備えられたベンチに座り込む。
太ももがパンパンだった。座った瞬間に「もう無理っすよ〜!」と俺の豚足が悲鳴を上げる。弱音を吐くんじゃねーよ馬鹿野郎、と叱咤するけど、残り僅かな体力、暗くなってしまった道を思うと、気が重たい。
45:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:22:28.76 ID:uyzFntxd0
「よかった、あったよ、買えたっ」
豊橋は嬉しそうにそう言った。それなら重畳。ふぅ、と息を吐き出してから俺も言葉を返す。
46:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:23:05.21 ID:uyzFntxd0
「豊橋、あれっ」
「……あれ?」
47:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:24:24.20 ID:uyzFntxd0
「タクシー使えば余裕のよっちゃんだろ!」
「え、でも、辰野君は自転車だから……」
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