42:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:19:46.51 ID:uyzFntxd0
なんて馬鹿なことを考えているうちに、駅前商店街を抜けて、大きな国道へ出た。
それでも目的地まではまだまだ遠い。ペダルをもっと強く踏み込む。
「振り落とされんなよ! 財布落とすなよ!」
「大丈夫……っ」
俺の両肩に置かれた手にぎゅっと力が込められた。それに加えて、とすん、と背中に軽い衝撃。本気で振り落とされると思って俺の背中にしがみつくようにしているのか。それとも風が冷たいから俺のわがままボディを風よけにしているのか。
どちらにせよ、ブタに引かれたママチャリのソリは進み続ける。コミュ障サンタの願いを叶えるために進み続ける。
青信号が点滅している横断歩道を急いで抜けて、道の曲がり角は気をつけて急いで、見通しのいい直線は思いっきりタイヤを回す。
そうして、不格好なサンタの一行は百貨店にたどり着いた。
時計を見れば、商店街を出発してから四十分弱。燃える茜も鳴りをひそめ、空には宵闇の黒が訪れていた。
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