32:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:05:26.89 ID:uyzFntxd0
と、威勢よくペダルを踏み込もうとしたところで、見知った顔を見かけた。俺はそれに声をかける。
「おーおー、豊橋さんじゃあないですか」
33:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:07:11.59 ID:uyzFntxd0
「豊橋はあれか、これから例のクリスマスプレゼント?」
「ええ、うん」
34:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:08:58.85 ID:uyzFntxd0
「なぁ、豊橋」
「なに?」
35:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:10:11.72 ID:uyzFntxd0
「おっす。こんちは、おっちゃん」
「おっ、辰野さんとこの坊主じゃねーか! 相変わらず肥えてんなぁお前!」
36:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:11:25.18 ID:uyzFntxd0
「まぁ、そういうわけだから、ターキーの丸焼きを買うなら百貨店だな」
「…………」
37:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:12:35.59 ID:uyzFntxd0
「今年はここら辺でも買えるもんにするしかないんじゃないか?」
「でも」
38:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:14:25.21 ID:uyzFntxd0
なぁ、サンタクロースっていつまで信じてた?
……今でも信じてるって言ったら、どうする?
39:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:15:35.04 ID:uyzFntxd0
俺は思う。
そうだった。こいつは静謐で神聖な雰囲気を纏う天然ボケだった。歳の離れた弟妹にもたまに敬語で話すようなコミュ障だった。みんなから遠巻きにされた広い世界をひとりで歩く、普通の高校生だった。
40:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:16:45.92 ID:uyzFntxd0
「なに速攻で諦めてんだよお前、今できることを探せよ!」
「で、でも……」
41:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:18:44.14 ID:uyzFntxd0
「だ、だけど、それじゃあ辰野君に迷惑が……」
「うるせぇ! お前がサンタになるんだよ!」
42:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:19:46.51 ID:uyzFntxd0
なんて馬鹿なことを考えているうちに、駅前商店街を抜けて、大きな国道へ出た。
それでも目的地まではまだまだ遠い。ペダルをもっと強く踏み込む。
60Res/53.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20