35:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:10:11.72 ID:uyzFntxd0
「おっす。こんちは、おっちゃん」
「おっ、辰野さんとこの坊主じゃねーか! 相変わらず肥えてんなぁお前!」
気さくに挨拶をすると、おっちゃんはカウンターの向こうから手を伸ばし、俺のわがままボディを軽くぽよぽよと叩く。くすぐったいぜ。
「今日はどうしたい? チキンならさっき母ちゃんが買いに来てたぞ?」
「ああ、毎年ありがとうございます」
軽く頭を下げ、それから本題を切り出す。この近辺でターキーの丸焼きとか置いてある場所ってあるかな?
「そういう小洒落たもんは商店街じゃ置いてねーだろうなぁ」
「やっぱりっすか……」
半ばわかっていた返答だった。肝心の豊橋は驚いたような顔をしていたけれど。
「どっか心当たりとかありません?」
「そうだなぁ、隣町の百貨店とかなら置いてあるんじゃねーかな」
「なるほど……」
頷きつつ、頭にその百貨店を思い浮かべる。
駅からは離れた大型の百貨店。たまに車に乗って家族で買い物に行く場所だった。
「ありがとうございます」
「いんやいんや、毎度どーも!」
頭を下げてから、カウンターに背を向ける。そして何処へともなく歩を進めながら豊橋の様子を窺うと、どこか焦ったような顔色をしていた。
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