18: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:45:54.07 ID:7MqFVx3xO
信号がメロンパンのような緑色に変わった。志摩がアクセルを踏み込み、まるごとメロンパン号を発車させる。メロンパンの移動販売車に偽装した張込み用の覆面車は法定速度でゆっくり進み、緑と白黒で塗り分けられた車体に追い越していく自動車を反射させている。
志摩と伊吹は機動捜査隊に所属していた。彼らの役目は事件が発生した場合いち早く現場に駆けつけ迅速な初動捜査を行うことであり、いまは管轄区域のパトロールの最中だった。
19: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:46:47.94 ID:7MqFVx3xO
伊吹「志摩、ストップ」
さきほどの雑談と異なる声のトーンを聞きつけた志摩が相棒のほうに振り向く。
20: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:47:49.09 ID:7MqFVx3xO
伊吹の言葉に志摩は眼を見張った。言われてみると、たしかに女の子の服装は容姿のわりに幼い気がする。
女の子のほうも驚いているようで、手に持っている紙袋をぎゅっと握りしめながら伊吹の言葉にうなずいた。
21: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:48:51.80 ID:7MqFVx3xO
志摩「さっき言ってた男の人が捨てていったって言ったよね? どんな感じの人だった?」
果穂「えっ……で、でも……」
22: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:49:55.32 ID:7MqFVx3xO
果穂「ゴミ……」
伊吹「ゴミ?」
23: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:51:21.38 ID:7MqFVx3xO
志摩「きみが人の言うことを真剣に受け止めていることはわかった。でも、悪意まで受け止める必要はない」
果穂「悪意?」
24: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:52:15.81 ID:7MqFVx3xO
志摩「ジャス、えっ、なに?」
伊吹「えっ、知らねーの?」
25: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:53:07.41 ID:7MqFVx3xO
志摩「なんだこの空気。ていうか結局誰なんだよ、ジャスティスレッドって」
伊吹「ダメだねー、志摩。そんなじゃゆたかの話についてけないよ」
26: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:54:00.57 ID:7MqFVx3xO
果穂「たぶんそれは第17話『あぶない?相棒 キレイ好きハリー』の真似です! ジャスティスレッドと推理がヘタなキレイ好きハリーが相棒になって事件を捜査するんです。それで犯人の怪人を見つけるんですが、男の子を人質にとってジャスティスレッドにハリーを攻撃するよう脅すんです! それで仕方なくジャスティスレッドはハリーに必殺技を放つんですが、それはウソでハリーはやられたフリをして男の子を助けて、そしてジャスティスレッドが敵をやっつけるんです!」
大量の熱意にあふれた言葉に志摩と伊吹はおもわず圧倒された。どちらともなく「おぉ……」という感嘆の声が洩れる。
27: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:54:40.91 ID:7MqFVx3xO
伊吹「よし。じゃあ、正義の味方の相棒としてあのゴミでも片付けますか」
明るい声を出しながら、伊吹は自販機横のゴミ箱へ近づいていった。あとをついてくる志摩に伊吹は振り返り訊ねる。
28: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:55:38.04 ID:7MqFVx3xO
メロンパン号のバックドアが開けられ、そのなかを見たとき、果穂の表情はさらに輝いた。万国旗、赤い自転車、紺色のジャンパー、その他のさまざまな小道具たち。使い方が検討のつかないものも幾つかあったが、その検討の付かなさが逆に果穂の好奇心を刺激した。
果穂「なんだか秘密基地みたいです!」
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