小宮果穂「ドーナツのクズ、メロンパンの車」
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20: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:47:49.09 ID:7MqFVx3xO

 伊吹の言葉に志摩は眼を見張った。言われてみると、たしかに女の子の服装は容姿のわりに幼い気がする。

 女の子のほうも驚いているようで、手に持っている紙袋をぎゅっと握りしめながら伊吹の言葉にうなずいた。


伊吹「どうよ? この伊吹アイの確かな目」

志摩「ダジャレかよ、センスがおっさんだな」

伊吹「おっさん言うな。おっ、そのドーナツ評判いいやつじゃーん」


 「ナイスセンス〜」と伊吹は馴れ馴れしく褒め言葉を口にしたが女の子はさっきからずっと浮かない様子だった。志摩は不審に思った。女の子に気づいた伊吹に迷子かと訊いたとき、伊吹は判断を留保していた。いまこうして女の子の態度を間近で観察していると、ただの迷子だと思わなくなっていた。


志摩「そのドーナツの袋ってきみの? ずいぶんクシャクシャだけど」

果穂「えっと、その……捨ててあって……」

志摩「それでここに捨てようと?」

果穂「あっ、ちがって、男の人が捨てていって……」

志摩「ちょっと中身の確認させもらってもいいかな?」


 志摩は女の子からおそるおそる差し出された紙袋を受け取り、なんらかの不審物の可能性も考慮しつつ中身の確認をおこなった。不審物は見受けられなかった。だが袋の中を見た志摩は思わず顔をしかめた。コーティングやトッピングが破壊され、色彩の配置が滅茶苦茶になってしまった見るも無残なドーナツたち。悪意によって潰された揚げ菓子は見るものを不快な気分にさせる。


伊吹「ひでーな」


 隣から覗き込んだ伊吹がぼそりとこぼす。




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