26: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:54:00.57 ID:7MqFVx3xO
果穂「たぶんそれは第17話『あぶない?相棒 キレイ好きハリー』の真似です! ジャスティスレッドと推理がヘタなキレイ好きハリーが相棒になって事件を捜査するんです。それで犯人の怪人を見つけるんですが、男の子を人質にとってジャスティスレッドにハリーを攻撃するよう脅すんです! それで仕方なくジャスティスレッドはハリーに必殺技を放つんですが、それはウソでハリーはやられたフリをして男の子を助けて、そしてジャスティスレッドが敵をやっつけるんです!」
大量の熱意にあふれた言葉に志摩と伊吹はおもわず圧倒された。どちらともなく「おぉ……」という感嘆の声が洩れる。
興奮が冷めていくにつれ、果穂は自分が失態を犯したような気分になりつつあった。ふたつの間の熱量は互いに等しくないと双方の間を循環せず、熱は拡散し冷め切った空気だけが残される。アイドルとして仕事をするにあたって、そのような冷たさを味わったことも一度や二度ではなく、ときにはプロデューサーに諫められたりもした。
果穂はまたさきほどの気まずい沈黙が流れるのではないかも不安になりながら、志摩と伊吹を見上げた。
そこにあったのは、無邪気な称賛の笑みを浮かべる伊吹と感心したように優しげに目を細める志摩の表情だった。
伊吹「すげえよ、果穂ちゃん。よくそんなに覚えてるね」
志摩「ほんとうに好きなんだ、ジャスティスレッドのこと」
果穂「っ!……はいっ!」
果穂は感極まりそうになった。このふたりはわたしがアイドルだということを知らないのに、わたしの好きを肯定してくれた。勢いにまかせた説明だったのにちゃんと受け止めてくれた。心の中から放たれた生の感情が否定されない。そのうれしさを感じられることの大切さを果穂はあらためて知った。
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