高垣楓「あなたがいない」
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137: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:37:39.80 ID:CC20O+KU0

 その言葉どおり、朝は来た。リビングに行ってみると、ちひろさんがすでに朝食の準備をしている。

「あ。おはようございます」

以下略 AAS



138: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:38:12.84 ID:CC20O+KU0

「高垣さん、おはようございます。お体、いかがですか?」
「ええ、おとといよりはだいぶましになりましたけど」

 社長さんの問いかけに私は素直に答える。
以下略 AAS



139: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:38:53.30 ID:CC20O+KU0

「それと、その後の対応についても、いろいろお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」
「いえ、いいんです。それが私たちの仕事です」

 私の謝罪に、社長さんは事もなげに言った。
以下略 AAS



140: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:39:29.05 ID:CC20O+KU0

 社長さんはそう言ってくれたものの、事故を起こしたアイドルへの風当たりは、間違いなくきついものだろう。
 しかし私には、それを説明できる言葉を持たない。なぜなら。
 私にも、よく分からないのだから。
 ただ人前に出るには、若干の猶予をいただいたのだ。それを無碍にするわけにはいかない。
以下略 AAS



141: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:40:10.41 ID:CC20O+KU0

 翌日。
 クリニックを受診することになった。今日は、ちひろさんも一緒に。

「私もまだお世話になってますから。ちょうどいいです」
以下略 AAS



142: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:40:46.34 ID:CC20O+KU0

 うつむいた顔を上げる。私は、先生の言ったことがよく理解できてない。

「なに、を」
「診断書も書きます。高垣さん。お仕事を休まれたほうが」
以下略 AAS



143: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:41:14.24 ID:CC20O+KU0

 私が、私でなくなってしまう。
 そんな焦燥が私を包み込んだ。

「高垣さん。今高垣さんに必要なのは、完全な休息です。ゆっくり療養される、その時間が必要なんです」
以下略 AAS



144: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:41:56.71 ID:CC20O+KU0

 先生が看護師さんを呼ぶ。私はうずくまり、ただ泣くだけ。
 処置室に促され、私はジアゼパムを注射される。酩酊する感覚、そして私は、眠りに落ちた。

 どのくらい経っただろうか。
以下略 AAS



145: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:42:31.06 ID:CC20O+KU0

「高垣さん。ちょっとですね、お薬を変えましょう」
「え……お薬、ですか」
「はい。今まで飲んでもらっていたミルナシプラン、あれは前向きになるお薬でしたけど、今の高垣さんには、気分を整えるお薬のほうが大事に思われます。
ですから、ミルナシプランを別のお薬にします」
以下略 AAS



146: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:43:22.30 ID:CC20O+KU0

 再びタクシーで、まっすぐマンションへ帰る。今日もちひろさんが付いてきてくれた。

「今日も私、お邪魔していいですか?」

以下略 AAS



147: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:44:18.90 ID:CC20O+KU0

「今の楓さんは、『双極性障害』の疑いがある、そう先生はおっしゃってました」
「そうきょくせい、しょうがい?」
「はい。昔は『躁うつ病』と呼ばれていたものだそうです」
「そう、うつ、びょう……」
以下略 AAS



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