25:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:38:32.63 ID:W5lmC8VA0
「あぁ、こういう所もあったんだねぇ」
「良かったら膝枕、しましょうか?」
「いいの? ふふ、助かる」
26:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:39:42.72 ID:W5lmC8VA0
「えっ?」
どれくらい時間が経ったのか分からない。
27:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:41:51.35 ID:W5lmC8VA0
あぁ――そうか。
私は合点した。
時計を見てみると、時間にしてせいぜい5分程度。
藍子ちゃんの膝に頭を預けてまどろむ間際、私は確かに「幸せ」と言っていた気がする。
28:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:43:33.63 ID:W5lmC8VA0
私にとっては、あまりピンとこない話。
この弱い身体でも、求めたものが手に入らないわけではなかった。
千夜ちゃんだけでなく、誰かにお願いをすれば断られることは無かったし、良い思いもさせてもらえた。
29:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:50:04.21 ID:W5lmC8VA0
言われた通りに目を向けると、遠くの方に銅像らしきモニュメントがあったのを見つけた。
天に向かって手を伸ばす裸婦像。
「この間、通りすがりのおばちゃんから聞いたんですが……あれ、一度作り直されたみたいなんです」
「作り直された?」
30:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:51:45.31 ID:W5lmC8VA0
「……藍子ちゃん?」
藍子ちゃんは視線を落とし、手元にある芝生を撫でた。
「人も街も、信じられない速さでどんどん変わっていく……。
31:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:54:49.88 ID:W5lmC8VA0
「…………」
かつての私にも、思い描いたものが、きっと無いわけでは無かったと思う。
でも、諦めるのは楽だった。
32:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:57:29.26 ID:W5lmC8VA0
藍子ちゃんは、「うーん」とちょっとだけ悩んでみせるような仕草をして、天を仰いだ。
「アイドルは、楽しいです。
それは、一緒にやっている仲間の人達も、皆良い人ですし、ファンの人達も温かいから」
33:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:04:34.50 ID:W5lmC8VA0
「ファンの人達も、そうかもですけど……同じ事務所の、アイドルの人です」
藍子ちゃんは、写真を見せてくれた。
トイカメラで撮った自撮り写真だ。
34:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:07:18.22 ID:W5lmC8VA0
曰く、藍子ちゃんが所属する346プロの中でも、有数の気ぃ遣い屋さんなんだとか。
今回の件も、そんなに仕事が多くない藍子ちゃんのために、フレデリカちゃんなる子は機会を譲ってあげたみたい。
私はもう一度、この子をからかってみようと思った。
この子がムキになるのを見れたら、この子の底が分かるから。
35:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:08:01.33 ID:W5lmC8VA0
「それは、義務感? あるいは……」
また、私の中のモヤモヤが燻りだす。
「……使命感?」
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