黒埼ちとせ「進化論」
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25:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:38:32.63 ID:W5lmC8VA0
「あぁ、こういう所もあったんだねぇ」
「良かったら膝枕、しましょうか?」

「いいの? ふふ、助かる」

 芝生の上で膝を折り、ポンポンと叩くそれを見て、私はニンマリと笑い、遠慮無くそれに頭を載せた。
 あんまりこういうのって、固そうだし、実はさして期待はしていなかったけれど――。

 ――――。


 これ、いいな。

 手慣れた感じでその役を買って出てくれたあたり、藍子ちゃんの膝枕には、誰か既に常連さんがいるのかも知れない。

「どうでしょう。痛くないですか?」
「ううん、とっても気持ちいい……藍子ちゃんこそ、頭、重たくなぁい?」
「いいえ。私も、なんとなく安心します」

 目を閉じた私の頭の上、クスッと彼女の笑う声がした。
 サラサラと木の葉が風で擦れる音や、通りの方で微かに聞こえる喧噪も心地良い。


 ウトウトと微睡んでいく中で、私の口はいつの間にか、丸裸の思考をボンヤリと吐露したようだった。


「幸せ、かぁ」



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