黒埼ちとせ「進化論」
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32:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:57:29.26 ID:W5lmC8VA0
 藍子ちゃんは、「うーん」とちょっとだけ悩んでみせるような仕草をして、天を仰いだ。

「アイドルは、楽しいです。
 それは、一緒にやっている仲間の人達も、皆良い人ですし、ファンの人達も温かいから」

「でも、大変でしょう?」
「ふふっ……そうですね、とっても大変です。
 運動が苦手な私には、レッスンも難しいですし、それに」

「競争だって、激しいものね」

 そう言うと、藍子ちゃんは言葉を止め、ほんの少し困ったように眉を下げて、ゆっくりと頷いた。


「アイドルって、厳しい世界です。
 皆が夢を見ているのに、皆が夢を叶えられるとは限らない世界……。
 私みたいに、競うのが苦手な人間がアイドルだなんて、本当はあんまり、向いてないのかも知れません」

 一瞬だけ覗かせた自嘲じみた笑顔を振り払うように、藍子ちゃんは元の穏やかな笑顔に戻った。

「それでも、私に夢を見出してくれた人がいたから……。
 優しい気持ちで包んであげられるアイドルも、いていいんだって、信じてスカウトしてくれたプロデューサーさん……。
 それに、私を応援してくれている人もいるから、応えたいかなぁって」

「それは、藍子ちゃんのファンのこと?」



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