28:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:48:02.49 ID:XnGtX3Tv0
あぁ、やはりこの子は賢い。
シューコは静かに頷いてその続きを促す。
29:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:49:48.60 ID:XnGtX3Tv0
紗枝は帰り着いたその後に今日の出来事を思い出していた。
風呂桶の中で肩まで浸かって天井の板の目を見ながらシューコの言葉を脳内で反芻する。
帰りの別れ際まで不機嫌な態度を取り続けてはいたが、実のところはそんなに怒ってなどいなかった。
30:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:50:30.70 ID:XnGtX3Tv0
結果としてシューコは紗枝の背を押してやれたことになる。
ただ紗枝だけを想って、ただ紗枝だけを見て。
31:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:53:09.97 ID:XnGtX3Tv0
◆
32:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:54:38.03 ID:XnGtX3Tv0
「ねぇシューコはん……」
「ん、どーしたん紗枝ちゃん?」
33:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:55:54.79 ID:XnGtX3Tv0
「せや……そう言えばうち、ずっと訊きたかったんやけど」
「どしたん?」
34:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:58:03.81 ID:XnGtX3Tv0
「そんなら、うちが名前つけたげる!」
そう言うと紗枝は木の枝を一つ拾い上げ、帯の隙間に挟んであった葉を取り出す。
シューコと初めて会ったあの日に受け取った葉、紗枝の名が書かれた葉、タラヨウの葉だ。
35:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:59:27.07 ID:XnGtX3Tv0
『醜狐』
36:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:00:15.23 ID:XnGtX3Tv0
「ほら、書けた!」
玉露のように瞳を輝かせ差し出すそれに
37:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:03:03.51 ID:XnGtX3Tv0
◆
田が黄金に色づく頃、暑さも和らぎ風も涼しさを取り戻した。
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