28:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:48:02.49 ID:XnGtX3Tv0
あぁ、やはりこの子は賢い。
シューコは静かに頷いてその続きを促す。
「厳しいけどな、怒ると怖いけどな、でもな……」
「……うん」
「ほんとに困ったらな、うちのこと助けてくれる……そういう人になりたい!」
答えはもう出たようなものだった。
シューコの顔にも笑みがこぼれる。
「そう、最終的に誰かを助けてあげられればそれでええんよ。その方法はどないでもええ、術が今すぐ上手くできんかったり苦手なままでもええ、人には向き不向きがあるんやし、紗枝ちゃんなりの方法で助けてあげたらええ!」
方法など何でもいい。
できないことがどれだけあろうと構わない。
シューコに比べたらできることが少ない人間はごまんといる。
それでも人間達はこうして生きている。互いに補い合って生きている。それだけで良いのだとシューコは思う。
シューコにとってはそれこそ自分にはないものなのだから。
「うちなりの方法……?」
「せやせや」
「……どんなん?」
「それは、ほら……あれよ……」
しまった。
シューコとて流石にそこまでは考えていなかったのである。
単に向き不向きがあるしまだ若いのだから焦ることはないと思ってもらえたら良かったのだが。
しかしよく考えると話の流れ的にこうなってしまうのは当然であった。
「ほら、この水だってあれやん?術で混ぜるんが大変なんやったらこうして手でぐるぐるーっとすれば……」
「……」
「ほら、昔から急がば回れって言うやろ?先人達もそう言うとるんやから、ね?」
「なんか違う気がする……」
その後、紗枝の機嫌を直して麓まで送る頃には日が暮れていた。
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