234:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:25:39.69 ID:7gnP6kF90
憫笑。
昔、何かの小説で知ったそんな言葉を、加蓮は思い出していました。
きっと、奏のこの笑みを表す為に作り出された表現なのだろうと、
235:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:48:00.29 ID:7gnP6kF90
「んっ……」
整った顔を少しだけ歪め、奏は指先に力を籠めます。
ざりざりという悲鳴にも似た耳障りな音を立ててドアが開け放たれると、
236:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 14:34:24.73 ID:7gnP6kF90
「――ねぇ!」
237:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 15:13:41.71 ID:7gnP6kF90
奇跡的に何とか停車する事が出来ました。
しかし、何故だかエンジンまで鼓動を止めてしまい、
どれだけいじり回してもうんともすんとも言ってくれません。
238:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 15:32:12.91 ID:7gnP6kF90
「ふふっ……レイトショーなんて初めて」
「ごゆっくり」
239:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 16:30:07.23 ID:7gnP6kF90
百貨店の向かい、細長いビルの一階と二階に掲げられた顔馴染みのアルファベット。
やっぱりこのお店は照明が煌々と灯っていて、加蓮は店内へ続く扉を押し開けました。
240:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 16:44:04.55 ID:7gnP6kF90
◇ ◇ ◆
目の覚めるほど綺麗な顔が眠りこけていました。
241:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 16:59:25.60 ID:7gnP6kF90
「おはようございます。お父様、お母様」
「あらおはよう。挨拶がしっかりしてるわねぇ」
242:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 17:30:15.33 ID:7gnP6kF90
「幻滅なんてとんでもないわ! 次に泊まりに来るのは来週だったかしら?」
「ええ。その予定です」
243:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 17:38:24.43 ID:7gnP6kF90
伏せた顔を震わせ続ける奏の前で、
両親による必死の説得が繰り広げられました。
最初こそ適当にあしらっていた加蓮でしたが、
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