30: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:41:23.64 ID:clFucneV0
何かを教えられた気もせず、お礼を言われるほどのことができたとも思えなかったので、どうにも受け取り辛い感謝だったが、ここで否定しても良いことはないと判断して、私はそれを受け取った。
そして、いくら私がかつての関係者と言えども、今を全力で駆け抜けている子たちの邪魔をする権利はどこにもない。
31: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:42:15.02 ID:clFucneV0
〇
受付に戻って入館証を返し、少しの雑談を経たあとお礼を述べてレッスンスタジオを出る。
32: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:43:37.78 ID:clFucneV0
■ 四章 結露
レッスンスタジオを訪問した翌日、いつもどおりの時間に目が覚めた私を襲ったのは電撃のような痛みだった。
33: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:44:23.03 ID:clFucneV0
〇
いつもどおりの日課を終えた私は、すぐさま荷物をまとめて自宅を出た。午前中に向かうのは、よくお仕事で訪れたテレビ局に行くことにしていた。
34: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:46:48.65 ID:clFucneV0
〇
それからは、結果から言えば、何もなかった。
35: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:48:21.29 ID:clFucneV0
〇
午前中に家を出て、懐かしの場所周辺を練り歩き、昼食を摂りまた練り歩く。
36: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:49:23.09 ID:clFucneV0
■ 五章 在
どれくらい、途方に暮れていたのだろうか。すっかり陽が落ちて、辺りは夜の帳が下りていた。
37: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:51:05.12 ID:clFucneV0
思えば、この男はいつだって間が良い。
狙いすましたような、その瞬間しかありえないような、そんなタイミングを引き当てる。
38: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:52:43.23 ID:clFucneV0
「学校の先生だって、卒業しても先生って呼んじゃうし、別におかしいことないでしょ?」
「まぁ、その理屈で言えばそうか」
39: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:53:47.84 ID:clFucneV0
「なんか、こんなこと言うと変な話だけど、プロデューサーも人並みに人間なんだな、って私は思ったよ」
「どういうことなの、それ」
40: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:54:48.44 ID:clFucneV0
「私に会えて、嬉しい?」
「嬉しい。かなり」
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