渋谷凛「これは、そういう、必要な遠回り」
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39: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:53:47.84 ID:clFucneV0

「なんか、こんなこと言うと変な話だけど、プロデューサーも人並みに人間なんだな、って私は思ったよ」

「どういうことなの、それ」

「どっかでさ、プロデューサーのこと超人みたいな存在だと思ってたんだよね。私は」

「超人?」

「人混みでもすぐ私を見つけるし、ベストなタイミングでいつも私の人生に現れるし、アイドルの頃も私の不調をすぐ見抜くから」

「ああ、そういう」

「だから、なんか、逆に安心した。プロデューサーも普通の人なんだな、って思って」

「そんな感想が返ってくるとは思ってなかった」

「あ。そうそう、全然関係ないんだけど、もう一個聞いときたいことがあって」

「ん?」

「実はちょっと前に、アイドルの頃にお世話になった人たちに会う機会があって、そこで身に覚えのない感謝をされることが多かったんだけど」

「あー」

「あー、って言うことはやっぱりプロデューサーの仕業なんだ」

「まぁ、そうなるな。ものによっては違うかもしれないけど」

「なんで、あんなことしたの?」

「凛が戻ってくる場所を、そのままにしておきたかったんだと思う」

「私が? アイドルに?」

「うん。でも、今思えばあれは俺が凛がいなくて寂しかっただけなのかもしれない」

「……ふぅん」

にやけてしまいそうになるのを、頬の内側を甘く噛んで抑える。

まったく、この男は臆面もなくこういうことを言うから、卑怯だ。



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