渋谷凛「これは、そういう、必要な遠回り」
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33: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:44:23.03 ID:clFucneV0



いつもどおりの日課を終えた私は、すぐさま荷物をまとめて自宅を出た。午前中に向かうのは、よくお仕事で訪れたテレビ局に行くことにしていた。

当然、芸能人でもなんでもなくなってしまった私はもう建物に入ることはできないだろうから、周囲を歩くだけだけれど、彼がどこに出没するかわからない以上、手当たり次第歩いてみるしかない。

改めて思えば、計画的なようでいて無計画で無謀な作戦であるなぁ、と思いつつも独力で彼を探すと決めた以上は、こうする他ないのだ。

依然として状況は好転しないままであるが、昨日スカウトされたときのことを鮮明に思い出したことで、私のやる気は増していた。

連絡が取れなくなった程度で切れてしまう縁ならば、あんな大混雑のホームで再開を果たすこともなかっただろう。

だから、きっと、また会える。

自分を元気づける意味でもそう心中で呟いて、私はアイドルだった私の足跡を追うのだった。



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