88:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:23:57.31 ID:1/ZkFkMM0
「はぁ……はぁ……!」
あのまま倒れていたらと思うと、ゾッとする。
皆とのステージを台無しにするところだった。
89:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:28:05.28 ID:1/ZkFkMM0
近く、世界的なスポーツの祭典が東京で行われるに辺り、その暑さ対策が様々に検討されていた。
この日に舞い降りた雪も、その一環だったという。
つまり、人工雪による冷却効果の実証実験を行う場として、346プロがその事務局側の公募に応じたのだ。
真夏とはいえ夜間の、しかもアイドルのライブという、様相も条件も異なるものにも採用された辺り、まるで節操が無い。
90:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:28:43.17 ID:1/ZkFkMM0
「……アーニャさん?」
後になって知ったが、人工雪による演出は、アーニャさんの強い希望があったのだという。
91:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:30:45.13 ID:1/ZkFkMM0
* * *
――――
92:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:32:26.87 ID:1/ZkFkMM0
* * *
「はぁぁ……ハラショー……」
上野にある美術館。
93:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:34:08.12 ID:1/ZkFkMM0
あのフェス以降、私達の仕事は劇的に増えた。
私でさえ、それまではグラビアだけだったものが、最近は歌う仕事の方が多くなっている。
346プロの他のアイドルがパーソナリティを務めるラジオ番組のゲストに呼ばれたり、あろうことかテレビに出たこともあった。
それをこなすためのレッスンも比例して増えたため、ますますお嬢様のために費やす時間が無くなっていく。
94:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:35:46.87 ID:1/ZkFkMM0
私は呼んだ覚えはない。なぜか、アーニャさんと凛さんが誘ったのだ。
しかし、なかなかどうしてコイツも、絵画に対する造詣が深いように見える。
畑は違うとはいえ、アイドルという芸術を作り上げるものとして、一定の教養は持ち合わせている――ということか?
95:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:36:58.95 ID:1/ZkFkMM0
「今日は、ありがとう千夜。
アーニャだけじゃなくて、私まで誘ってくれて」
アイツとアーニャさんが私達を置いて先に行ってしまったのを見計らい、凛さんが改めて私に声を掛けた。
96:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:39:39.44 ID:1/ZkFkMM0
どうしても分からなかった。
あの『GOIN’!!!』で、私と凛さんのポジションは、確かに隣同士ではあった。
それに、一緒にレッスンを重ねてきていたし、複雑なライン移動もピッタリ呼吸を合わせてこなせるまでになっていた。
97:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:40:53.93 ID:1/ZkFkMM0
――?
理由になっていない。凛さんともあろう人が、随分と具体性に欠く、ナンセンスな回答だ。
「そういうものとは?」
「だからさ……」
98:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:42:41.94 ID:1/ZkFkMM0
彼女に倣い、私もそのバレエダンサーが描かれた絵画を見上げる。
ドガだろうかと当たりをつけてみると、案の定そうだった。
たぶん、思考の置き場に困った彼女が、適当な対象としてこれに視線を預けているに過ぎないと思った。
301Res/285.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20