白雪千夜「足りすぎている」
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215:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:05:58.00 ID:1/ZkFkMM0
   * * *

「ンー! カナコちゃんのクッキー、すーっごく美味しいよー。
 アタシの作ったフォンダンショコラもどうぞ召しませしるぶぷれ〜♪」

以下略 AAS



216:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:07:25.46 ID:1/ZkFkMM0
 本番まで、あと一週間と少し。
 最後の追い込みは、とかく事務所内にピリピリとした空気が漂いがちだ。
 まして、シンデレラプロジェクトとプロジェクトクローネは、一応のライバル同士。

 フレデリカさんがこのような場を設けてくれたのは、思いつきであったにせよ、何かしら温かな意図があったのだろう。
以下略 AAS



217:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:10:49.70 ID:1/ZkFkMM0
 誰かと思ったら、文香さんだった。
 ソファーに佇み、紅茶のカップを両手で持って優美に微笑んでいる。

「先日、誤ってレッスンを拝見したことがありましたが……トレーナーの玲音さんと、とても楽しそうに勤しんでおられました。
 私に気がつくと、お二人とも気軽に中にお招きいただくどころか、出来を見て欲しいと、ちとせさんのダンスを見せてもくださり…」
以下略 AAS



218:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:14:29.72 ID:1/ZkFkMM0
「玲音さんねー、ゆいもこないだちょこっとだけ話したけどチョーいい人だったよ!」
「えっ、唯ちゃん話したの!? それアタシも呼んでよ、いいなぁ!」
「お姉ちゃんも話したことないんだ?」
「当たり前でしょ! ずーっと雲の上の人なんだから」
「あ、そういやあたしも「実家の和菓子ですー」って差し入れに行ったけどめっちゃ面白い人だったよ玲音さん」
以下略 AAS



219:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:23:31.66 ID:1/ZkFkMM0
「千夜は行かないの?」

 杏さんがお決まりのソファーから身じろぎもせず、テーブルの上に残ったお菓子におざなりに手を伸ばす。
 きらりさんがそれを、彼女の方に引き寄せてあげた。

以下略 AAS



220:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:24:44.96 ID:1/ZkFkMM0
「あーそれ杏が一番分かんないヤツだ」
「あなたに理解してもらいたいとは言っていません」
「知ってるよ」

 同じく部屋に残ったアーニャの、クスッと笑う声が隣で聞こえる。
以下略 AAS



221:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:27:59.00 ID:1/ZkFkMM0
「李衣菜チャン! 出口の方を抑えといて!」
「えぇっ!? で、でも出口あっちとこっち二つあるけど!?」
「凜ちゃん、あっちの出口をお願い! 卯月ちゃんは私達と手分けして下の階から当たりましょう!」
「はい! 頑張りますっ!」

以下略 AAS



222:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:34:22.90 ID:1/ZkFkMM0
「……まぁ、そういう事でもいいです」
「ウラー♪」

 まったく、彼女の相手は楽しいものの、たまの不意打ちが心臓に悪い。
 知れず嘆息しながら、事務所を出ようとした時だった。
以下略 AAS



223:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:39:40.57 ID:1/ZkFkMM0
 いつも相手への配慮を欠かさないアーニャも、怪訝そうに首を傾げている。
 この人に匂いフェチなる嗜好があることは知っていたが、つくづく理解できない領域だ。

 ただ、この人は今、出入口ではなく、1階の廊下から歩いてきて私達に声を掛けてきた。
 彼女の歩いてきた先には、回遊して外に出入りできる扉はあるが、普段は通用されていない。
以下略 AAS



224:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:41:49.55 ID:1/ZkFkMM0
「!!? だっ!?」
 肺の中の空気が一気に押し出され、地上に打ち上げられた魚のように呼吸の仕方を忘れてむせてしまう。

「チヨ、大丈夫ですか!?」
「にゃははー、反応しすぎー♪ お別れの挨拶代わりにハグくらい、ルーマニアでも普通でしょー?」
以下略 AAS



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