白雪千夜「足りすぎている」
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220:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:24:44.96 ID:1/ZkFkMM0
「あーそれ杏が一番分かんないヤツだ」
「あなたに理解してもらいたいとは言っていません」
「知ってるよ」

 同じく部屋に残ったアーニャの、クスッと笑う声が隣で聞こえる。

「辞める相談なんて受けなきゃ良かった。杏としては、あの時間を返してほしいよね」
「生憎ですが、それは無理な相談です。その代わり」

 私は踵を返し、部屋の出口へと向かった。

「あなたにも、見れて良かったと納得してもらえるものにしたいと思っています。
 一応、お世話にはなりましたから」


「……あっ、そう」

 彼女が照れ臭そうに鼻を掻いて、追い出すように手を振るのを見届けてから、私はアーニャと事務室を出た。



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