208:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:06:40.21 ID:1/ZkFkMM0
皆の言う通りだと思う。
ランクという言葉があるように、アイドルには格というものがある。
常務は、イメージが崩れると言って許さなかったが、オーバーランクの曲を歌うなら、相応の格を有するアイドルが担うのが自然だ。
346プロで言えば、トップクラスの実力派として名高い高垣楓さんか、LiPPSのエースたるカリスマギャルこと城ヶ崎美嘉さん。
209:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:18:29.77 ID:1/ZkFkMM0
シャワーを浴びて、着替えて事務室に行くと、アイツは応接スペースのテーブルの上に資料を広げて待っていた。
脇には、サンプルを流すためと思われるノートパソコンも置いてある。
「白雪さんの新曲の候補を、三曲ほど絞ってまいりました。
どれが良いのか、白雪さんに決めていただきたいと思ったもので」
210:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:21:18.12 ID:1/ZkFkMM0
「分かりました。しかし、確認したいことがあります」
コイツの言うとおり、今度のフェスは、私にとってまず忘れられない大一番になるだろう。
そして、単なる思い出作りのために臨むものでもない。
211:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:24:03.68 ID:1/ZkFkMM0
少しの間が置かれた後、岩のような顔が少し柔らかくなった気がした。
「スカウトの際、あなたの笑顔を咲かせてほしいと、とある方にお願いをされました」
「ちとせさんが?」
212:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:26:06.96 ID:1/ZkFkMM0
――――。
「……“Dear boy”」
213:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:31:37.91 ID:1/ZkFkMM0
これはバラードだ。
振付もある程度考案されているにせよ、ダンサブルに仕上がるとは思えない。
つまり、ちとせさんの『アクセルレーション』に、真っ向から張り合うような曲ではないと言える。
おそらくキーとなるのは、ほぼ純粋な私のボーカル力だけになるな。
214:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 19:33:41.55 ID:1/ZkFkMM0
21時頃まで席を外します。
残りはあと3割弱ほどで、2時頃までに完結できればと考えています。
215:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:05:58.00 ID:1/ZkFkMM0
* * *
「ンー! カナコちゃんのクッキー、すーっごく美味しいよー。
アタシの作ったフォンダンショコラもどうぞ召しませしるぶぷれ〜♪」
216:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:07:25.46 ID:1/ZkFkMM0
本番まで、あと一週間と少し。
最後の追い込みは、とかく事務所内にピリピリとした空気が漂いがちだ。
まして、シンデレラプロジェクトとプロジェクトクローネは、一応のライバル同士。
フレデリカさんがこのような場を設けてくれたのは、思いつきであったにせよ、何かしら温かな意図があったのだろう。
217:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 21:10:49.70 ID:1/ZkFkMM0
誰かと思ったら、文香さんだった。
ソファーに佇み、紅茶のカップを両手で持って優美に微笑んでいる。
「先日、誤ってレッスンを拝見したことがありましたが……トレーナーの玲音さんと、とても楽しそうに勤しんでおられました。
私に気がつくと、お二人とも気軽に中にお招きいただくどころか、出来を見て欲しいと、ちとせさんのダンスを見せてもくださり…」
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