白雪千夜「足りすぎている」
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196:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:22:43.76 ID:1/ZkFkMM0
 お嬢様、か――自嘲じみた笑みが独りでに零れる。

「そう……私は、ちとせさんに依存しきっていました。
 あの人の従者でいることが私のアイデンティティであり、存在の証明だった」

以下略 AAS



197:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:24:50.82 ID:1/ZkFkMM0
 消え入るような声が、漂う暗闇の中にポツリと落ちた。

「アーニャさん?」


以下略 AAS



198:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:33:03.07 ID:1/ZkFkMM0
 ――いきなり、何を言い出すかと思えば。

「考えませんでした。それが何か」
「それは、なぜでしょうか」
「なぜって……名字が無くなってしまうからです。それ以上の理由が?」
以下略 AAS



199:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:37:37.35 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんが泣きそうなほど上ずった声で、私に叫ぶ。

「チヨは、私にくれました。優しくて、キレイな思い出。
 まだ……まだ思い出して、くれないですか?」

以下略 AAS



200:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:39:14.97 ID:1/ZkFkMM0
 ――――


「……お申し出をくださり、ありがとうございます」

以下略 AAS



201:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:42:01.35 ID:1/ZkFkMM0
 ――それが正しい記憶なのかは、分からない。
 一度は捨てて忘れ去ったものの真贋を見定めるのに、5年という歳月は私には長すぎた。

 だけど――。

以下略 AAS



202:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:45:19.94 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんの瞳から、とうとう涙がこぼれ落ちた。
 豊かな心を持つ彼女から、堪えきれずに地上に落ちる、温かな涙。

 私のそれと、同じものとは思えない。

以下略 AAS



203:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:47:24.05 ID:1/ZkFkMM0
 振り返れば、コイツがスカウトしていなければ、私達が再会することもなかった。
 一歩を踏み出した先の可能性――思わぬ所で、得難き出会いがあったのだ。

「礼にはおよびません。
 それに、まだ終わったわけではないのですから」
以下略 AAS



204:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:50:47.73 ID:1/ZkFkMM0
   * * *

「1、2、3、4、1、2、3……!」

 端っこに座り、三人のレッスンの様子をジッと見守る。
以下略 AAS



205:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:53:45.89 ID:1/ZkFkMM0
 私は、体が空く時があればクローネのレッスンに参加させてもらえるよう、アイツに調整してもらった。

 アーニャと一緒にいたいというのもあるが、単純に興味を持ったのだ。
 理想のアイドル像と、それに至る道のりについて、常務がどのように考えているのかを。

以下略 AAS



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