白雪千夜「足りすぎている」
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198:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:33:03.07 ID:1/ZkFkMM0
 ――いきなり、何を言い出すかと思えば。

「考えませんでした。それが何か」
「それは、なぜでしょうか」
「なぜって……名字が無くなってしまうからです。それ以上の理由が?」

 アイツは頷いた。

「そう、つまり……あなたは無ではありません。
 あなたには、守りたかったものが既にあったのです。白雪という名を」

「!」


 言い返す言葉が無かった。
 本当に無価値を自称するのなら、名前にこだわる必要も無かったはずだ。

 なぜ私は、白雪の性に未練を覚えたのか。

 唯一の家族だった両親との繋がりを保つため?
 あの人達のことを、悲しい記憶ごと忘れて乗り越えようとしていたのに――?

 それとも、心の底では自分を無価値と認めていなかった?

 自分を守るために捨て去ったはずの思い出に、白雪だけは手元に残した理由――。


「white snow……」



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