白雪千夜「足りすぎている」
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199:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:37:37.35 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんが泣きそうなほど上ずった声で、私に叫ぶ。

「チヨは、私にくれました。優しくて、キレイな思い出。
 まだ……まだ思い出して、くれないですか?」


 思い出す?

 私は――アーニャさんに以前、出会っていた?

「チヨの笑顔を、知っているの……チトセだけでは、ありません」



 ――私とアーニャさんは、二つ違い。

 10歳の彼女の前に現れた、優しい女の子。
 名前も顔も知らない、言葉さえ分からない他人と、四六時中遊び倒した、世話好きな――。

 当時の12歳。



 ハッとして、空を見上げた。
 その私の気づきに呼応するかのように――。

 真っ暗な闇の中を、季節外れの白雪がポツポツと舞い降りてくる。



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