白雪千夜「足りすぎている」
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203:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:47:24.05 ID:1/ZkFkMM0
 振り返れば、コイツがスカウトしていなければ、私達が再会することもなかった。
 一歩を踏み出した先の可能性――思わぬ所で、得難き出会いがあったのだ。

「礼にはおよびません。
 それに、まだ終わったわけではないのですから」

 ソイツはニコリと笑い、岩のような体をゆっくりと後ろに向けて私達を招いた。

「これ以上、体が冷えてはいけません。帰りましょう」

「はい」
「ダー」


 失われることの無い、ずっとこの胸に宿る大切なもの。
 支えてくれる人がいて、それを灯し続けていけるのであれば――それをもう一度、ちとせさん以外の誰かに与えることができるなら。

 アイツが注意するのも聞かず、私は足元を恐れることなく歩き出した。



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