白雪千夜「足りすぎている」
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202:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:45:19.94 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんの瞳から、とうとう涙がこぼれ落ちた。
 豊かな心を持つ彼女から、堪えきれずに地上に落ちる、温かな涙。

 私のそれと、同じものとは思えない。

「スパシーバ……出会ってくれて、ありがとう、チヨ」

「私こそ、今まですみません、アーニャさん……」
「ニェット」

 私の頬に、アーニャさんの細くて温かい手がスゥッと添えられる。

「謝らないで、チヨ。
 それに……アーニャと、呼んでください。5年前も、アーニャと、お願いしましたね?」

 私は苦笑した。
 だから、もう覚えてないのに――。

 でも、私にとってかけがえのない人からの願いを、無碍にはできない。


「はい……ありがとう、アーニャ」

「フフッ♪」


「そして……お前も、ありがとうございます」



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