17:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:17:22.71 ID:QXbKSZYO0
なるほど。
お互い車で移動していたはずのお嬢様方と男が、ここに来るまでどう接触をしたのか不思議だったが、そういうことか。
同時に、そうまでして私をアイドルにしたかったのかという、お嬢様の強い意欲を感じる。
18:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:18:57.19 ID:QXbKSZYO0
「ちとせは言いくるめられたのではない、千夜。私も一緒にいたのだから」
返答に窮した男に、助け船を出したのはおじさまだった。
「この子がそう考えたように、私もお前に、アイドルなるものを志しても良いのではと思ったのだよ。
19:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:20:23.12 ID:QXbKSZYO0
話を聞くと、男の芸能事務所――346プロダクションには、事務所が有する女子寮がその敷地内にあるらしい。
地方から上京するアイドル達の生活を支援するものであり、大手故にセキュリティも、万が一の医療体制も万全。
これまで探してきた都内のどの物件よりも、今後の私達に理解のある住まいとなるのは明らかだった。
4月から通うことになる学校にも、電車で二駅ほどしか離れていないらしい。
20:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:22:33.10 ID:QXbKSZYO0
――そっと、お嬢様のお顔を覗ってみる。
お嬢様は、何も言わずにニコニコと笑ったままだった。
21:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:23:56.46 ID:QXbKSZYO0
「そうは言っても、私はあなたが導いてくれることを期待しているよ?」
テーブルに肘をのせ、悪戯っぽくお嬢様が微笑みかける。
「プロジェクトの名が示すとおり、千夜ちゃんをお姫様にしてあげてね、魔法使いさん♪」
22:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:25:14.44 ID:QXbKSZYO0
ふと、言葉を止めた。
今の私には、考えることが一つだけある。
対等――従者として生きてきた私には、対等といえる立場の相手が久しくいなかったことに気がついた。
そういった者には、どう呼称するのが一般的なのか。
23:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:31:50.54 ID:QXbKSZYO0
* * *
「ほっ! お、やっ……とぉ! ほぁ!」
「未央」
「ふんわぁぁっ!?」
24:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:35:53.67 ID:QXbKSZYO0
シンデレラプロジェクトには、総勢15人のアイドル候補生がいる。
元々は14人で構成される予定だったが、急遽増員が決まったらしい。
その増員枠に、収まったのは私。
お嬢様はというと――。
25:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:46:46.09 ID:QXbKSZYO0
あてがわれた女子寮は単身用であり、お嬢様と私の部屋は隣同士にしてもらえた。
もはやお決まりのように、お嬢様は私の部屋に入り、ニコニコしながら今日の出来事を聞き出そうとする。
「今日は、本田さん、渋谷さん、島村さんと一緒でした。
ボーカルレッスン、ダンスレッスンをそれぞれ2時間ほど受け、私へのトレーナーの評価は、可も無く不可も無くといったところです」
26:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:51:04.93 ID:QXbKSZYO0
候補生は、私と同年代の人達が多かった。
三村さんが事務所に持ち込んだクッキーに、私が紅茶を用意すると、皆さんはとても喜んでくれた。
「甘美な愉悦がこの身に宿り、我が魔力の高まりを感じるわ!」
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