白雪千夜「足りすぎている」
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18:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:18:57.19 ID:QXbKSZYO0
「ちとせは言いくるめられたのではない、千夜。私も一緒にいたのだから」

 返答に窮した男に、助け船を出したのはおじさまだった。

「この子がそう考えたように、私もお前に、アイドルなるものを志しても良いのではと思ったのだよ。
 私達に仕える以外にも、違った未来があることを知るのは、決して悪いことではない」


 ――私にここを出ろと、暗に仰っているのだろうか?
 私にはまだ、黒埼家に返すべき恩が残っているというのに。

「良くない想像をしているようだが、そう極端な話をしているのではないよ」

 黙り込んだ私を見て、おじさまはお嬢様と顔を見合わせて笑った。

「千夜ちゃんは、違った生きがいを見つけてもいいんじゃないかな、って思ったの。
 あまり悪く思わないで、ねっ?」
「悪く思うなどということは……」

 私は、首を振った。
 そのように言われてしまうと、返す言葉が無い。



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