白雪千夜「足りすぎている」
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21:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:23:56.46 ID:QXbKSZYO0
「そうは言っても、私はあなたが導いてくれることを期待しているよ?」

 テーブルに肘をのせ、悪戯っぽくお嬢様が微笑みかける。

「プロジェクトの名が示すとおり、千夜ちゃんをお姫様にしてあげてね、魔法使いさん♪」

 ――なるほど、そういう意味での『魔法使い』か。
 しかし、なぜ私だけ――姫というなら、お嬢様こそふさわしい。

「それはもちろん、ご期待に添えられるよう善処します」

 男は頷いた。
 善処という言葉に卑屈な予防線を感じたが、首を掻いていない辺り、この男なりの意志は垣間見える。

「白雪さんも、私を信じていただけないでしょうか」


「分かりました」

 私が真っ直ぐに応えたことに、男は少し驚いた表情を見せた。

「意外に思われましたか。
 おじさまとお嬢様がそう仰るのなら、決まったことを蒸し返すことはしません」

 お嬢様の戯れに付き合うことには慣れている。
 元より、従者が主に逆らう筋合いなどあるはずも無く、考えるだけ無駄なこと。

 これも戯れの一つであるなら、黙って興じてみせるのみ。


「これからよろしくお願いします、プロデューサー……いや」



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