白雪千夜「足りすぎている」
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164:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:37:15.48 ID:1/ZkFkMM0
 見たい。

 ステージの上で、この曲を歌いきり、およそ信じられないくらいキラキラに輝くお嬢様を。
 観客からの大歓声に、満面の笑顔で手を振るお嬢様を。

以下略 AAS



165:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:40:06.49 ID:1/ZkFkMM0
 随分と騒々しいな。
 会話の内容からして、おそらく――。

 私は、ドアをそっと開けた。

以下略 AAS



166:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:43:02.32 ID:1/ZkFkMM0
 サッとこちらに見せてきた画面を確認する。
 プロジェクトクローネ総勢13名のメンバーそれぞれの予定が示された横使いのスケジュール表は、確かに、お嬢様の午後の空白を示している。

「ご予定が無いのであれば、ちとせさん、こちらにお戻りになるかと思ったのですが……」
「どこか遊びに行ってるのかなー? あ、アーニャちゃんも午後オフだね」
以下略 AAS



167:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:46:13.55 ID:1/ZkFkMM0
「し、失礼します!」
「ひぁっ、し、白雪さんちょっと!?」

 引っかけた靴を履き直す時間すらもどかしい。
 お嬢様の部屋の片付けも、ドアの鍵も、まるで無視してしまうほどに、私は頭が真っ白のまま寮の出入口へと走った。
以下略 AAS



168:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:50:20.52 ID:1/ZkFkMM0
 寮を飛び出し、その先の門へ向かう足が止まった。

 見慣れた黒い定規が――アイツが、門の前に立っている。

「白雪さん、お待ちしていました。どうぞこちらへ」
以下略 AAS



169:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:54:23.39 ID:1/ZkFkMM0
 都心部から黒埼の屋敷へは、車で1時間半ほどかかる。
 幹線道路を使えば、近くまでは比較的一本道で行けるが、その先は細い山道を慎重に上る必要がある。
 346プロの寮に越してからも、お嬢様と二人でタクシーを利用して帰ることは何度かあったが、どの運転手もその道を嫌がっていた。

 車の中は、しばらく無言だった。
以下略 AAS



170:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:57:18.10 ID:1/ZkFkMM0
「レッスンのことであれば、気に病む必要はありません」

 嫌味も抑揚もまったく感じられないトーンのまま、コイツは続ける。

「もちろん、望ましいことではありませんが……
以下略 AAS



171:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:59:33.38 ID:1/ZkFkMM0
「知った風なことを」
 私は小さくため息をついて窓の外へ顔を背けた。

「お前は、私がどれほどお嬢様のことを案じているか、分かっていないのです」

以下略 AAS



172:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:03:14.33 ID:1/ZkFkMM0
 いつの間にか凝視していた私の視線に、チラッと送ってきたコイツの視線が一瞬だけ絡んだ。

「私だけでなく、シンデレラプロジェクトの皆も、よく分かっています。
 白雪さんが黒埼さんの事を、とても大切に思われていることを」

以下略 AAS



173:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:06:42.70 ID:1/ZkFkMM0
「……えっ!?」

 なぜ!?
 お嬢様ご自身の誕生日だ。お祝いされる側がホストに徹するのはおかしい。
 というより、私やアーニャさんだけでなく、一緒に向かっているコイツの分もか!?
以下略 AAS



174:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:08:23.56 ID:1/ZkFkMM0
 すっかり見慣れた門が自動で開き、ゆったりと開けた車寄せにコイツの運転する車が滑らかに吸い込まれていく。

「今日はどうか、黒埼さんのお話に、耳を傾けてあげてください」


以下略 AAS



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