20: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 11:06:06.11 ID:FHy5Fzra0
「ありがとよ。おっと、あんたの名前聞いてなかったな」
「ナシノ…、ナシノといいます」
「あいよ。ナシノ、またどっかであったらよろしく頼むわ」
21: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 13:32:35.38 ID:FHy5Fzra0
「貴方、お店の前で突っ立っているのは、あまりよろしくないわね」
「あ、すいません」
お店から出てきた女性にそう声をかけられて、慌てて店から少し離れる。自分で思ってるより、長くその場にいたのかもしれない。ちゃんと女性に挨拶もできないまま、逃げるようにその場を離れようとした。
22: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 14:00:02.85 ID:FHy5Fzra0
「貴方、ギルドメンバーよね? 魔法の適性は?」
「火の属性があると言われました」
「……。決めた、ついてきなさい」
23: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/04(土) 02:48:27.68 ID:kZaYRnnM0
女性。ヘカルテ・サルバートに連れられ、たどり着いたのはギルド協会内にある訓練場。今は、貸し切りの状態になっている。
「ナシノ。何でもいいわ、その適正があったと言われた火を発現しなさい」
「は、はい」
24: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/04(土) 03:36:32.57 ID:kZaYRnnM0
「火は熱い。基本的な認識があると言っても、記憶を失ったことで反射的な認識はあるものなのに…、その火は熱くない。そうね?」
前半は呟くように吐き出し、後半はナシノに再度問いかける。改めてナシノは頷いて答えた。
「発現させるだけなら、誰でも出来る。でも、発現させたものを改変させるのは、才か常識外れか。その意味で貴方はどちらかはまだ不確定な訳だけど」
25: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/10(金) 03:55:59.18 ID:1Azkb+300
一息ついて、借りた部屋のベッドに横になる。軋む音とそれなりの肌触りのシーツが、安物であると感じさせる。利用して二日目で、その感触にまだ慣れないが、1人でいられる空間は、今のナシノにとってはありがたかった。
ヘカルテ、彼女の素性は彼女自身から簡単に聞かされた。ギルド協会の臨時教官で、ここへ赴任したばかりとのことだ。それ以外は、何も言う気はなさそうに去っていったので、質問する余地もなく、育てさせろということに対して、彼女はナシノの返答も聞いていない。
あの常に怒っているような目つきで、美人さも相まってそれが鋭い刃物のような視線を感じさせる。髪は耳が出る程度に短く、身長はこの世界で恐らく平均よりやや高いぐらい。服装はローブに杖ではなく、ロングスカートに白いブラウスのようなもので、シンプルな装いだった。
26: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/11(土) 03:08:38.39 ID:OGeSaM5j0
魅せられる感覚から抜け出す為に、夕食をとることにした。
雑穀スープを口に運び、明日はどうするか考える。ヘカルテの施しを受けるのは、今のナシノにとって魅力的でも、現実的な問題としてこの場所で生活する必要がある。明日は早めに起きて、出来そうな依頼(クエスト)を早く請け負わないといけない。
「あ、ナシノさん。お疲れ様です」
27:名無しNIPPER[sage]
2020/01/11(土) 10:53:27.53 ID:vzQ9/+JfO
盗作者◆Jzh9fG75HA(ちゃおラジの作者)を語るスレ
ex14.vip2ch.com
千夏「ツェストビィエン…?」
ex14.vip2ch.com
28: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2020/01/13(月) 21:16:43.66 ID:zGBBg+3o0
「ヘカルテさんですか。新しく赴任された教官の方ですよね。受付の方が話していたのを聞きました」
彼女からヘカルテのことをもう少しだけ詳細を聞くことができた。古くから続く魔法使いの家系の出身で、その力は相当なものがある。ただ、あまり性格はよろしくない。というところは、すでに実体験しているナシノの方がよく知っていて、ギルド協会自体はそのせいで評判自体はよろしくはないのも、理解できた。
実力を持っているのは間違いなく、ある程度のわがままが通せるのは家系だけではなく、その実力も評価されているかららしい、とのことだった。
29: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2020/01/13(月) 21:33:55.36 ID:zGBBg+3o0
「…。だとすると、私はナシノさんが羨ましいです」
落ち込んだ様子で話す彼女を、不思議そうにナシノは見る。その視線に気づいた彼女はぽつりと、欲しかったスキルが人を癒すスキルだったものですから、とそれ以上は答えなかった。そこに理由があるとナシノも思った。けれど、それが聞けるほど信頼を得てはいない。
「そうなんだ。癒す力があるかまではわからないけど、でも、うまく使えるようになったら一緒に依頼(クエスト)をまたやろう」
30: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/13(月) 21:34:51.51 ID:zGBBg+3o0
訂正
×今日は教えられたというより、見られただけ。実践的なことも何も一つない。
〇今日は教えられたというより、見られただけ。実践的なことは何も一つない。
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