そのスープを飲み干して
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25: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/10(金) 03:55:59.18 ID:1Azkb+300
一息ついて、借りた部屋のベッドに横になる。軋む音とそれなりの肌触りのシーツが、安物であると感じさせる。利用して二日目で、その感触にまだ慣れないが、1人でいられる空間は、今のナシノにとってはありがたかった。

ヘカルテ、彼女の素性は彼女自身から簡単に聞かされた。ギルド協会の臨時教官で、ここへ赴任したばかりとのことだ。それ以外は、何も言う気はなさそうに去っていったので、質問する余地もなく、育てさせろということに対して、彼女はナシノの返答も聞いていない。

あの常に怒っているような目つきで、美人さも相まってそれが鋭い刃物のような視線を感じさせる。髪は耳が出る程度に短く、身長はこの世界で恐らく平均よりやや高いぐらい。服装はローブに杖ではなく、ロングスカートに白いブラウスのようなもので、シンプルな装いだった。

自分の中にある魔法使いのイメージとはどこか違う。けれど――。

『魔法は突き詰めれば、理(ことわり)を自由にすること。それは、創造主になるのと同じ』

その言葉ではなく、彼女の背後に見えた、陽炎。それがあらゆるイメージをナシノの中で爆発させ。

――魅せられている。


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