29: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2020/01/13(月) 21:33:55.36 ID:zGBBg+3o0
「…。だとすると、私はナシノさんが羨ましいです」
落ち込んだ様子で話す彼女を、不思議そうにナシノは見る。その視線に気づいた彼女はぽつりと、欲しかったスキルが人を癒すスキルだったものですから、とそれ以上は答えなかった。そこに理由があるとナシノも思った。けれど、それが聞けるほど信頼を得てはいない。
「そうなんだ。癒す力があるかまではわからないけど、でも、うまく使えるようになったら一緒に依頼(クエスト)をまたやろう」
「えぇ、その時はまたよろしくお願いします」
冷めて、一口ほどになっていた雑穀スープをナシノは飲み干す。リーテに部屋へ戻ると伝えて席を立った。
部屋に戻り、眠りの間胸にあったのは、少しだけ薄まった見せられる感覚。それが渦巻いていた。
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