64: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:14:45.82 ID:9YnfOZCp0
本日はここまでになります。
次回が最後になると思います。早ければ夜半にでも。
ありがとうございました。
65: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:24:54.67 ID:BON9hvjh0
□ ―― □ ―― □
66: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:25:21.66 ID:BON9hvjh0
(はは、馬鹿はもともとだったかな)
小さく自嘲する。そうじゃなきゃ、こんなザマでプロデューサーになろうなんて思うはずもない。
するとその様子を見てとったのだろう。社長が尋ねてくる。
67: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:25:48.03 ID:BON9hvjh0
『け、結果的には、そうなるかもしれません。ですが、後悔はないです』
「……なるほど」
社長は何かを考え込む素振りをした。そして数瞬後、
68: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:26:14.30 ID:BON9hvjh0
「……理由を聞いても?」
ぎらついた社長の目に射すくめられながら、それでも身を震わせて応える。
『……証明するって、言いましたから。是非もなく、は違います。約束ですから。それに――』
69: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:26:40.89 ID:BON9hvjh0
「君が何を以て証明としようとしたか、それは分からん。だが君が口先だけでだまくらかそうとしたわけではない、とは分かった。……頭を上げたまえ」
俺はまだ、頭を上げない。ひどい裏切りをしたと分かっているから。それに、そんなに軽い約束ではなかったと、今も思っているから。
そんな俺の様子を見たのか、頭上でため息が聞こえた。
70: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:27:07.59 ID:BON9hvjh0
『――っ! ちょっと、待っててください!』
口から出てきたのはそんな言葉。そして取るものも取りあえず、俺は駆けだす。
行き交う人の雑踏の中、何かが見えた気がした。ひどく遠い。手を伸ばそうとして、つんめのった。それでも、追った。永遠にも思える一瞬、一秒だった。
71: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:27:39.75 ID:BON9hvjh0
『ええっと! そういうわけでは!』
「……ふふ、冗談だよ。もし本当に私を見つけるなら……アンタの言ったことを信じてみようかなって。今はそう思ってるんだ」
そう言いながら見せる、はにかむような笑みに俺はもう駄目だった。思わず熱くなる目頭に、天を仰いで。眩しさなんて気にも留めず、見開いた目から涙がこぼれないように瞬いた。
72: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:28:06.30 ID:BON9hvjh0
「それで……その子が証明だと?」
『はい。この子は絶対にトップアイドルになります。それが俺の証明です。……何も“持たざる者”の俺が言っても、説得力はないかもしれないですけれども』
「わはは、驚くほどぞっこんだな。なるほど……、なるほど……」
73: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:28:38.15 ID:BON9hvjh0
「ほう? なんともはや、君に良く似合っている名前だ」
だが社長に先に言われてしまった、と少ししょぼんとなる。そんな俺の気を知ることなく、満足げに笑い、そして言葉をつづけた。
「さて、そこの彼から話を聞いているかも……いや、この様子だとさっぱり聞いていなさそうだな。ともかく、私は新しくアイドルのプロダクションを立ち上げようと思っている。君にはその、最初のアイドル候補となってもらうつもりだ」
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