68: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:26:14.30 ID:BON9hvjh0
「……理由を聞いても?」
ぎらついた社長の目に射すくめられながら、それでも身を震わせて応える。
『……証明するって、言いましたから。是非もなく、は違います。約束ですから。それに――』
彼女の姿を思い浮かべて、
『今の俺はただのプロデューサーじゃなくて……“彼女”のプロデューサーになりたかったんです』
そう答えて刹那。りぃん、りぃん、と広場に聞こえるように大きなチャイムの音が響いた。時計をみる。
時間だった。
『社長、申し訳ありません。どうやら……証明は出来なかったみたいです』
情けなくも、それでも笑顔を浮かべ、俺は社長に向き直って頭を下げた。後悔がないわけではない。親父とお袋に定められた期限自体はまだもう少しある。それでもこれが俺の夢の終わりだ。
けど、これで良かった。
この後悔は納得できる後悔。けれど、社長の申し出を受け入れていればそれはきっと、納得できない後悔を生んだだろう。
直角に腰を折って頭を下げ続け、社長の言葉を待った
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