65: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:24:54.67 ID:BON9hvjh0
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時間まで、あと十五分だった。
ケータイを求めてさすらい、たどり着いたあの交番の前。環状鉄道のターミナル駅そばの広場に俺はいた。
「いやはや、実に楽しみだな。君がどう、プロデューサーであることを証明してくれるのか」
そして隣には社長もいた。俺が電話で呼んで、来てもらったのだ。急な話だったのに、快く来てくれたあたり、やはり器の大きな人だと思う。
ただ、やたらとウキウキしていた。どうも電話で相当の啖呵を切ったようだ。俺が。……そこまでやった記憶がさっぱりないだけに、とてもこわい。
『ええ、きっと証明して見せますよ』
だから、俺は上乗せ倍プッシュで啖呵を切る以外にできることはなかった。それがただの空元気でしかないことを知りつつ、だ。
……そう。この三日間、俺は待った。待ち続けた。だが彼女からの電話はなかった。それを恨んだりするつもりは毛頭ないけれど、それでもひどく落胆した。
落胆して、それでもここにきている。悪あがきだろうか。いや、悪あがきなのだろう。社長まで呼び寄せて、まるで馬鹿みたいだ。
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