【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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201: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:20:38.26 ID:9DhA16vx0

声を詰まらせながら、このみは自問するようにそう呟いた。
ただ、このみはその答えが何であるかを既に知っていた。
知っていたから、涙が溢れて止まらなかった。

以下略 AAS



202: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:21:33.39 ID:9DhA16vx0

指で涙を拭いながら、このみはゆっくり顔を上げた。
差し出されたハンカチを受け取りながら、このみは声をもらした。

「……ごめんなさいね、プロデューサー。私……。」
以下略 AAS



203: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:22:27.11 ID:9DhA16vx0

「そ、それは……。」

彼は右手で、ぐしぐしと自分の涙を払った。
それから、彼は指先を頭に当てて小さく呼吸をした。
以下略 AAS



204: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:23:18.24 ID:9DhA16vx0

ぽたり、ぽたりと雫が落ちた。
シャツの袖口は、一つ二つと、どんどん濡れて色が変わっていく。
えぐえぐという声を漏らす彼に、このみの涙がまた頬を伝っていった。

以下略 AAS



205: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:24:16.97 ID:9DhA16vx0

彼がいくら手で拭っても、涙は止まらなかった。
このみは、自分の手の中にあった彼のハンカチを見た。
しかし、そのハンカチはもうこのみの涙で濡れてしまっていた。
このみは、横に置いてあった自分の鞄に手を差し入れて、そこから一枚のタオル地のハンカチを取り出した。
以下略 AAS



206: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:24:56.73 ID:9DhA16vx0

それから、幾ばくかの時間が過ぎた。
彼は時折、深く息を吸ってみたり、目をぎゅっと瞑ったりしていた。
しばらくしてから、彼は顔を上げ、ゆっくりした調子で言った。

以下略 AAS



207: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:25:22.73 ID:9DhA16vx0

二人が気が付けば、時計の針は21時を過ぎていた。
グラスの中の氷も、すっかり全部溶けてしまっていた。
あまり遅くなると、翌日の仕事にも響くかもしれないと、二人は帰り支度を始めることにした。
彼は台拭きを取ってきて、テーブルを拭き始めた。
以下略 AAS



208: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:26:20.70 ID:9DhA16vx0

二人分のグラスを持って、扉の横にある給湯スペースに向かった。
ところが、少しだけ歩いたところでこのみはそっと足を止めた。
少しの間が空いてから、その場で振り返って、このみは訊く。

以下略 AAS



209: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:28:22.19 ID:9DhA16vx0

本心を隠すようにイジワルっぽく笑って、このみはそう言った。
その問いに、彼はすぐには答えなかった。
こめかみのあたりを指で掻いて、少しの間考えて。
それから、このみを優しく見つめて、答えた。
以下略 AAS



210: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:31:16.57 ID:9DhA16vx0

このみは、いつか来るかもしれない、そんな何年後かの未来を思い浮かべた。
今より歳を重ねた自分が、仮に女優の道を歩んでいたとして──あるいはそうでなかったとしても。
やっぱり、私はこの場所に来てしまうんだと思う。
そこには今より大きく、大人になった仲間たちが居て。
以下略 AAS



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