49: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:34:51.57 ID:9pdDfgPfo
*
エミリーは以前言っていたとおり、曲の振り付けは体できっちり覚えていた。
二週間程度のブランクがあったものの体調は万全と見え、今まで通りに他のメンバーと肩を並べ、一曲通してのダンスをやりきろうとしている。
50: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:36:01.79 ID:9pdDfgPfo
エミリーを気にかけていた他のメンバーを一旦外させ、俺と伊織の三人だけでリハをやってみる。
「エミリー、歌えるか? 歌詞、覚えてる?」
「…………ダイジョウブ……と、おもいます」
51: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:36:47.15 ID:9pdDfgPfo
だんだんと掠れ声になっていった歌声は一番のサビが終わるか終わらないかでついに聞こえなくなった。
「止めましょう」と伊織は言ったが、なんとか口だけでも動かしているのがかすかに見えたのと、
振り付けはまだ続いていたのでもう少し待つ。手足の動きも少しずつ弱々しく、小さくなっていく。
52: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:38:33.74 ID:9pdDfgPfo
「《分からないって……何が?》」
伊織が問いかける。
53: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:39:29.99 ID:9pdDfgPfo
「ちょっと……」
冗談言わないでよ、と伊織がエミリーの肩を揺さぶる。
54: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:40:25.21 ID:9pdDfgPfo
*
何故エミリーは日本へやってきたのか。
何故エミリーはアイドルになったのか。
55: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:42:14.74 ID:9pdDfgPfo
「十年ほど前、アメリカで実際にあった症例です」
二日後、エミリーを再び家で休ませることにしてから、俺と伊織で再び医者の先生を訪ねる。
彼女についての話──日本に強い憧れがあったこと、
56: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:43:26.53 ID:9pdDfgPfo
冷静に、頭の中で少しずつ、先生の話をエミリーに置き換えてみる。
「もう少し正確に言うと──彼女が発症以前に語っていた、音楽を始めたきっかけの記憶。
音楽を通して感動した記憶。 音楽を続けていて良かったと思う記憶。
57: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:44:14.69 ID:9pdDfgPfo
「……ここまでくると、もはや推測でしかありませんが」
先生が俺のほうを見て言った。
58: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:45:01.86 ID:9pdDfgPfo
「……ごめん」
深呼吸をして頭を一旦落ち着かせてから、先生に問い直す。
59: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:47:39.82 ID:9pdDfgPfo
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「……一応、心当たりはあるんだ。 分かるよな」
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