エミリーが忘れた日
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53: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:39:29.99 ID:9pdDfgPfo
 
「ちょっと……」

冗談言わないでよ、と伊織がエミリーの肩を揺さぶる。

「《…………覚えてません》」

そうして最後に放った彼女の返答に、俺も伊織もついに言葉を失った。



「《私……“それ”に、なりたかったんですか?》」



裏手からステージを出ると、こっそり様子を覗いていたのか、まつりやジュリア、風花と千早が待ち構えていた。

「プロデューサーさん、エミリーちゃんの様子はどうなのです?」
「ステージ、いけそうなのか?」

どう返そうか迷った挙句、俺はゆっくりと首を横に振った。

「……エミリーにはまた休みを取らせる」
「そんな……復帰は無理ってことですか?」
「曲を途中で止めていたようですが、何かあったんですか?」
「みんな、すまない」

足早に四人の真横を通り過ぎ、そのまま振り返らず背中の向こうへ乱暴に言葉を投げた。

「もうしばらくあの子抜きで続けてくれ」


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