エミリーが忘れた日
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59: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:47:39.82 ID:9pdDfgPfo
 


「……一応、心当たりはあるんだ。 分かるよな」

事務所への帰りがけ、車の中で伊織に考えを吐き出してみる。

「というか、そうとしか考えられない。 あの絵が鍵だ……
 エミリーにとって、“よりちゃん”との思い出こそが日本に憧れるきっかけになった大事な記憶なんだよ」
「…………」
「お父様の話とも辻褄が合うだろ?」
「……一理あるかもね」
「だからなんとかエミリーに、“よりちゃん”のことを思い出させてあげられれば……けど、どうすれば……」

会話が途切れ、しばらく無言のまま車を走らせる。五分ほど互いにだんまりを貫いた頃、ふと思い浮かぶことがあった。

「……ちょっと待った」
「今度は何?」
「エミリーは日本に憧れて、大和撫子になりたくてこっちへやってきた。
 そして、神社で行われていた舞を見かけて、それを踊っていた女の子が“アイドル”っていうものだと知って765プロに……」
「そうなの?」
「オーディションであの子を採ったとき、そう言ってた」

伊織がこちらを向き、結論を急がせる目つきをしてみせた。

「つまり──そもそもエミリーがもし大和撫子に憧れていなかったら、日本には来なかったかも知れない」

ハンドルを握る両の手のひらから分かるほどに汗がにじみ出る。

「もし大和撫子に憧れていなかったら、きっと神社での舞を見たところで感銘を受けなかったかも知れない。
 どんな人が踊っていたかなんて、気にもしなかったかも知れない」
「なにが言いたいのよ……!?」


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