16: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:34:51.89 ID:9pdDfgPfo
プロデューサーとして、と己に豪語したくせ、その日の最後のユニットリハは自主練に変更した。
“Princess Be Ambitious!!”でもきっと同じ具合になることが分かりきっていたから。
やはりエミリーにこれ以上心の負担を感じさせたくはない。
俺はどっちつかずの頼りない指導者だ。
17: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:37:05.39 ID:9pdDfgPfo
──────
【お客様各位 メンバーの出演中止に関するお知らせ
18: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:38:47.00 ID:9pdDfgPfo
*
「──起きて……プロデューサー。 起きて」
19: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:40:58.49 ID:9pdDfgPfo
「ん、待った……つまり日本語を教えなおすってことか? エミリーに?」
「そうよ」
「……伊織が?」
20: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:42:08.47 ID:9pdDfgPfo
「明日、もう一度先生のところへ言ってエミリーの状況について相談しに行こうと思ってたんだ。 伊織の見解も含めて質問してみるよ」
「そう。お願いするわ……私も一緒に行っちゃダメかしら?」
「お前は朝から外の仕事があるだろ」
「……そうだったわね」
21: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:44:27.45 ID:9pdDfgPfo
*
翌朝劇場へ立ち寄って貼り紙を終え、数日前にエミリーを診てもらった医者を訪ねた。
22: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:45:50.57 ID:9pdDfgPfo
日常会話の学習についてはどうか、という質問には、
「それは、彼女がどのようにして日本語を勉強してきたかによりますから、何とも」
23: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:47:11.68 ID:9pdDfgPfo
劇場に戻る前にもう一度事務所へ立ち寄らねば。昨日伊織と話した件で、高木社長にお願いしたいことがあるのだ。
エミリーにはとりあえず今週いっぱい休みを与えて自宅待機とさせ、
以降の出勤については日本で一緒に暮らしている彼女の父親と電話で連絡を取り合うこととなっている。
24: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:49:34.03 ID:9pdDfgPfo
*
ちょうど週の明けた数日後、765プロの事務所宛に巨大な段ボール箱が届いた。
男の俺ですら一人で抱えきれるか分からない。まさかこんなサイズで届くとは。
25: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:50:55.46 ID:9pdDfgPfo
「Wow...!」
何冊、否何十冊とも数えられる大小さまざまな本。
背表紙付きの分厚いハードカバー本──タイトルに“English‐Japanese Dictionary”と読める──や、
26: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:52:54.66 ID:9pdDfgPfo
「そうだよ。 これなら、頑張って日本語を勉強していた昔の思い出とリンクして、言葉そのものも思い出しやすくなるんじゃないかと思ってな」
「?」
「つまりだな……エミリー。 俺たちと一緒に、もう一度、日本語の勉強をしてみないかってことなんだ」
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