19: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:40:58.49 ID:9pdDfgPfo
「ん、待った……つまり日本語を教えなおすってことか? エミリーに?」
「そうよ」
「……伊織が?」
少し待って、見えるか見えないかで伊織が小さく頷いた。
「だって、また思い出す保証がないんじゃ、あのままほっとくわけにも行かないじゃない。
現に周りと直接会話が出来ないんだから、エミリーにとってはまだまだ相当なストレスのはずよ」
もちろん、それはいち早く解決したいが。
「まずは歌える状態でステージに復帰するのを最優先に考える。
最終的には私がいなくてももう一度皆とコミュニケーションが取れるように……まあ、元の堪能な日本語まで戻せる自信はないけど……」
「いや、さすがにそこまで伊織にやってもらうわけには」
「765プロで他にできる人がいるって言うの? まさか第三者に頼んで、この状況が外に漏れでもしたら大変でしょ?」
反論するも、事実を突きつけられて押し黙ってしまう。
「私は平気。 スーパーアイドル伊織ちゃんよ、日本語講師との兼任なんて余裕でこなして見せる」
だから気にしないでいい、ときっぱり断ってから伊織は話を続けた。
「勝手な憶測だけど──本当に何も知らない外国人に日本語を教えようってワケじゃないわ。
元々喋れた人間に思い出してもらうってだけ。 だからそんなに困難なことじゃないと思う……のだけど、楽観視しすぎかしら」
俺には専門的なことは何もわからないし、はっきり言って都合の良い想像に過ぎないのかもしれないが、
伊織の予想が外れていたとしてそんな途方もない可能性まで今は考えたくないというのが本音だった。
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